宮崎県民はもちろん、観光客からも親しまれている「ワシントニアパーム」。宮崎市街地にズラりと並ぶ景観は、“南国”宮崎を象徴する存在としてすっかりお馴染みとなっています。
2017年からは約60年をかけて行われる大規模な植え替え工事もスタート。
そこで今回は、宮崎のワシントニアパームの歴史や、気になる工事概要についてご紹介します!
その数約840本!”南国”宮崎を演出するワシントニアパーム
「ワシントニアパーム」とは長い幹の先に、特徴的な剣上の葉っぱが生えた、ヤシの木の仲間です。宮崎県民の方の多くは、その存在をとても馴染み深く感じているのではないでしょうか。
それもそのはず。宮崎市街地の国道10号線と国道220号線には、中央分離帯に約840本ものワシントニアパームが植えられています。
県民にとっては通勤・通学やお出かけの度に目にする、日常の風景の1つ。
宮崎の玄関口宮崎空港や、有名な観光スポット青島神社へのルートにも植えられており、まさに”南国”ムードを演出してくれるシンボル的な存在と呼べるでしょう。
宮崎のワシントニアパームの歴史は昭和39年までさかのぼる
宮崎のワシントニアパームの歴史を紐解くと、昭和39年(1964年)にまでさかのぼります。
初めて宮崎の地にワシントニアパームを持ち込んだのは、「観光宮崎の父」故・岩切章太郎(いわきりしょうたろう)氏。
岩切氏と言えば、1960年代~の宮崎新婚旅行ブームの火付け役として有名で、現在に至る観光県・宮崎の礎を築いた偉人として知られています。
岩切氏は南国リゾートを演出する一環として、亜熱帯植物の植樹を推奨。これを受けて旧建設省(現在の国土交通省)が宮崎の幹線道路にワシントニアパームの植樹をスタートしました。
2017年からは60年計画で行われる植え替え工事がスタート
初めて宮崎の地に植えられてから、すでに50年以上が経つワシントニアパーム。近年問題となっていたのが、木の維持管理です。
成長すると大きいもので25メートル以上にもなるワシントニアパームは、年々高所での枝葉の剪定作業が難しくなっており、樹齢を重ねたことで立ち枯れや台風による倒木被害も目立っていました。
そこで宮崎県では、2017年からワシントニアパームの植え替え工事をスタートしました。
この植え替え工事を巡っては、植え替え方法を巡る議論が幾度も重ねられ、全国ニュースでも度々取り上げられたほど。
宮崎にとって、どれだけワシントニアパームの存在が重要とされているのかが伺えますね。
いましか見られない“ミニ”ワシントニアパーム
さて、この工事は60年にもおよぶ長期計画で進められています。
植え替える場所が中心市街地の中央分離帯ということもあって、工事による通行止めの影響や、800本を超える植え替え工事の負担分散が考慮されての決定です。
この長期計画のおかげで、現在宮崎ではとてもユニークな光景を見ることができます。それは、新しく植え替えられた「ミニ」ワシントニアパームと、植え替え前の「巨大」ワシントニアパームの共演です。
すでに工事が完了した場所では、かわいらしいミニサイズの木がお目見え。
一方、工事前のエリアでは、大きく成長したワシントニアパームが佇んでいます。違うサイズの木を見比べられるのは、工事期間ならではの楽しみ方ですね。
観光の際はワシントニアパームの成長をチェック!
ワシントニアパームは、南国気分を味わうことができる宮崎のシンボル的な存在です。
現在進められている植え替え工事は、60年スパンという長期間となるため、いまなら大小さまざまなワシントニアパームを楽しむことができます。
観光で宮崎を訪れた皆さまも、ぜひ成長の具合や工事の進捗状況を確認してみてください。次回の旅の楽しみが増えること、間違いなしですよ!
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